第75回 2006/01/24
稿は通常、毎週月曜日の更新とさせていただいております。月曜日が休日の時は、翌火曜日の更新です。いつもご覧頂いている皆様には、ご承知頂いていることと思います。ところが今回、月曜日が平日なのに、更新しませんでした。大変申し訳ございません。「しなかった」のではなく、「できなかった」のです。責任転嫁は良くないことですが、言わせて頂きます。悪いのは中国国際航空です。今回は、ペーソスのことはそっちのけで、スマイリー井原生還の記録をお届けいたします。

 21日(土)は下北沢「KOMPAL」での定期ライブでしたが、前回お知らせした通り、私は欠席させていただきました。助っ人のスエイさんが「絶対毎日末井日記」(http://www.sundial.co.jp/cgi-bin/byakuya/suei/read.cgi)にライブのことをレポートされていますが、その中にある「スマイリー井原さんが表稼業があって来れないから」という記述は、正しくありません。実は、プライベートで上海へ旅行していたのです。まず、この点、申し訳ございません。私用でライブを休んでしまっては、いけませんよね。

 でも、行きたかったんです、どうしても。仕事仲間たちと慰安旅行として行ったんですが、一行の中に大手広告会社のWさんという人がいて、上海に10年も駐在した経験があるので、その手配で現地の友人の方々が車を出してくださったり、会食の席を設けてくださったり、下にも置かない扱いで、ちょっとした大名旅行でした。朱家角という、昔の町並みが残る水郷地帯へ連れって行って頂いたり、ちょっと季節はずれですが上海蟹をいっぱい食べたり、上海名物の熱々で肉汁たっぷりの小籠包も美味しかったし、夜景の美しい外灘(バンド)を見渡せるバーもカッコよかったし、版権無視のマンガやアニメの本も沢山買ったし、とても楽しかったんですが……。

 帰国予定は、日曜日。月曜日には会社があるので、早く帰って明日に備えようという手はずです。帰って、本稿を書くつもりだったのです。予定通りにことが進んでいれば、夕方には家へ着いていたはずだったのですが……。

 航空会社は、先に書いた通り、中国国際航空です。朝から空港へ行くと、搭乗手続きは長蛇の列。そこで1時間くらい待ったのですが、その間に、出発が遅延することは、わかっていました。どうやら、土曜日に関東地方が雪で、成田空港で欠航が相次いだため、機体の準備ができなかったようです。飛んで来たものを整備して順繰りに送り出す、そのやりとりを繰り返すのが、航空会社のやり方なのですね。来なければ、出せない。それは道理ですから、きちんと説明してくれれば、納得するのに。

 搭乗口で何の説明もなく延々と待たされて、6時間後、どこから調達したのかボーイング777に乗ったのは良いんですが、離陸してから、飲み物や食事のサービスがちっとも始まらない。そのうち、中国語と英語で、エンジントラブルがあって上海へ引き返しますというアナウンス。再び上海浦東空港へ着陸して、またしても中国語と英語で、修理に2時間半くらいかかるのでそのままお待ちくださいと言われ、機内で待たされることになりました。

 怒った人たちが、「2時間半後に出たら成田に着くのは夜中だ。家へ帰れない。どうしてくれるんだ!」とスタッフに詰め寄っていましたが、先方は誰一人日本語ができないらしく、ただニヤニヤしているだけです。大半が日本人乗客なのに、日本語ができる人がいないというのも、非道い話です。

 結局、予定時間では直らなかったらしく、降ろされて、何の説明もないままバスへ導かれて、中国国際航空が手配した近郊のホテルに詰め込まれ、ほぼ軟禁状態。帰るからと思って人民元は使い果たしていたし、ホテルでは両替できないというので、ジュース一つ買えませんでした。

 翌日、またしても2時間の遅延で離陸して(同じ機体でした)、激しく揺れながら、なんとか帰国できました。その間、中国国際航空側からは一言もお詫びの言葉がなかったのに、降りるとき、キャビンアテンダントに「再見」と言われたので、仲間の一人は、「こうなったらオレも靖国神社へ公式参拝してやる!」と怒っていました。危ねぇなあ、オイ!

 泊められたホテルのロビーで、後部座席に座っていた人が話しているのを聞いたのですが、片側のエンジンから煙が吹き出し続けていたとか。かなりヤバかったんですね。私は、ちっとも気付かなかったんですが。実は、寝ていました。「食事のサービスが始まらない云々」というのは、仲間から聞いたことだったんです。私は、離陸前に寝て、着陸直前に起こされたので、ちっとも危機を感じていなかったのでした。こういうときは、寝た者勝ちっスね。

 そういうワケで、なんとか帰って参りました。待たされ続けた2日間、疲れましたが、本音を言うと、けっこう面白かったです。いろいろな人間模様が見られて。人間の個性とか、民族性とか、危機に直面すると顕わになるんですよね。じっくり観察してしまいました。

 さて、今週は、ペーソス活動はありません。次は、2/4(土)の船橋「無国籍料理 月」です。今週末は、ゆっくり休ませて頂きます。

 それでは、危機を脱して一陽来復、今週も晴れやかに行きましょう!