日本テレビ「斬新!アレンジの王様」 (O.A.2005/11/05深夜)出演レポート |
2005/10/10 |
夏のある日、ペーソスあてに届いた電子メールの中に「@ntv」と書いてあるものを見つけたとき、
恥ずかしがり屋のくせに目立ちたがりのオヤジどもは、そろって「やったー、久しぶりのテレビだ!」と手を打って喜んだのでした。民放最古の名門、日本テレビからの出演依頼です。さて、どのような歌番組だろう、と思ったら、過去の名曲400の中から1曲を選んで、複数グループでアレンジを競うというコンペディションなのだとか。オリジナルを披露できないのは少々期待はずれでしたが、せっかくのテレビ出演のチャンスです。誘って頂いて、お断りする理由もありません。ま、人の曲をアレンジすることは、坂上弘さんのアルバムをはじめとして何曲かやってきているし、しかも、どれも良い感じに出来ているし、何とかなるだろう、っていうか、「優勝しちゃうんじゃねぇの?」ぐらいの勢いで、張り切ってお引き受けすることにしたのでした。 10/10(月・祝) 前日は北陸放送のイベント「MROラジオまつりinつるぎ」に出演させて頂いて、秋晴れの中、野外で伸び伸びやれて爽快でしたが、この日は一転、雨模様。晴れの特異日として知られる10月10日にしては、珍しい天候です。 そぼ降る雨の中、朝8:00に麹町の日本テレビへ着くと、既にペーソスの二人と、Pヴァインレコードの、おなじみKプロモーター&イケメン新人Mプロモーターの二人も先着していて、早速、局内へ。タレントクロークへ案内されるのかと思ったら、休憩スペース脇の会議室へ導かれて、「ここが控え室です」という説明を受けました。ドアに、ペーソスの名前と並んで、もう一組のグループ名が書かれた紙が貼ってありますが、まだ我々しか来ていないようです。ともかく、部屋へ入って衣装に着替えて、しばらくお茶など飲んで待っていると、再び制作の方が呼びに来てくださり、大きなスタジオへ。いきなり演奏の収録です。 課題曲の中からペーソスが選んだのは、山口百恵さん初期のナンバー『ひと夏の経験』なのですが、なぜこの曲にしたかというと、島本さんが400もある名曲のほとんどを知らなくて、ちゃんと歌えそうなのがわずか数曲だったので、ほとんど選択の余地なく、これに決めざるをえなかったのでした。しかし、なぜ百恵ちゃんだけは知っていたのか? まったくこのオヤジのバックグラウンドは、ワケがわかりません。好きな歌手はウラジーミル・ヴィソツキーだって。ロシア人なら誰でも知ってるらしいですけど、日本人で知っている人、少ないですよ。日本人なら、美空ひばりとか、石原裕次郎とか、もっといろいろ、あるじゃないですか。……ま、そんなことを言っても仕方がない。百恵ちゃん15歳のころの歌を、53歳のオッサンが歌う、それもまた、ミスマッチで良いかも知れないということで、この曲に決めてわずか2、3回ぐらい、練習というんだかなんなんだか、合わせてみて、それでいきなり本番に挑むんだから、強心臓というかなんというか。 収録は、2度ほど演奏してOKとなり、しばらく時間が空いたので、近くのうどん屋さんへ行って昼食をして、さらに移動して喫茶店でお茶して、余裕ぶちかまして、審査場面収録の時間を待ちました。 演奏の収録はスタッフさんたちだけの前で行われたのですが、審査場面は、司会の爆笑問題のお二人と、審査員の松任谷正隆さん、島谷ひとみさん、真矢さん、MEGUMIさん、それに一般審査員の方々がお入りになっている中で行われました。 岩田さんの息子二人が「がんばれー」と応援してくれる紹介ビデオの後に、呼び込まれて、爆笑問題さんと少々トークし、先ほど収録の演奏を会場の皆さんと見て、そこで一発勝負の判定となることは、スタッフさんからあらかじめ説明されていた通りです。根拠のない自信にみなぎるオヤジどもは、まずは当然予選通過と胸を張っていましたが、結果は、ご覧の通り。 MEGUMIさんは10点満点をくださって、大絶賛だったのですが、島谷さんと真矢さん、爆笑問題の太田さんが7点ずつ、一般審査員の方々が合計33点、審査委員長の松任谷さんは「『アレンジの王様』だからねぇ」と呆れ顔で5点、総計69点でその場でさようならだったのは、本当に残念でした。 爆笑問題さんとのトーク場面では、きちんと説明できなかったのですが、ペーソスのアレンジの主たるポイントは、今年初めに発売されたPヴァインレコード「幻の名盤解放箱」CDセットのオマケ用に録音した『おじさまいや?』という曲(「なる週 第16回」参照)の「語り」の部分をそのまま当てはめて、乙女の決意をオジサマがかわすという新しい物語に仕立て上げたことです。和歌の世界で言うところの「本歌取り」というか、広く表現世界で言うところの「パロディー」というか、とにかく、高度に文学的手法を用いたのです。ペーソス曰く「アレンジとは、譜面に書かれた部分だけでなく、詩まで含めた曲のすべてをもって、新しい世界へと導くことである」。そのことが「音楽技術屋にはわかんねぇんだよなぁ」、というのは負け惜しみとしても、会場のウケは他のバンドよりも大きかったし、もっとなんとかなると思ったんですがねぇ。 実は、『ひと夏の経験』収録後、予選突破したときのための決勝曲として、もう1曲、収録してあったのです。島本さんの知っている数少ない曲の中からセレクトした、石川さゆりさんの『天城越え』です。この曲は、アラーキー先生の宴会で産経新聞の美人記者Sさんが色っぽく歌うのを何度も聞いて、島本さんが覚えていたのです。これのほうが、収録時、スタッフにウケたんだけどなぁ。残念ながら、幻となってしまいました。 敗退が決定して、予定より遙かに早い時間に解放された悲しきオヤジどもは、市ヶ谷駅あたりまで歩いていって、開店直後のチェーン居酒屋に押し入って、やけ酒を飲みながら、わかりやすーく、オヤジ臭ーく、くだをまいて、おだをあげてしまいました。その内容は、とてもじゃないけど書けません。が、少しだけ報告しておくと、ペーソスの二人と私は、この日からMEGUMIさんの大ファンになりました。そして、とある人が、大嫌いになりました。それって逆恨みだと、わかっちゃいるけど止められない。「いつかアイツを見返してやる」という決意が、今後の活力となれば、いいんですけど、ねぇ……。 |
||||