ペーソス大阪ライブツアー(2004/9/19〜21)
その1
9/19(日)
 朝10:40ごろ、東京駅の東海道新幹線ホームにたどり着いた。前日、KOMPALでの定期ライブがあり、その後夜中まで呑んでしまったのだが、そのわりにきちんと起きられてよかった。新幹線のぞみ121号の発車時間は11:13。心配性の島本さんは、「ってことは、10:45にはホームに着いていなきゃいけないね」と言う。飛行機じゃないんだから、そんなに早く行かなくても良いんじゃないかと思ったが、ま、年長者の言うことには従おうと思い直し、さらに5分前行動を実践した。

 ホームには、一つ前の発車号が入線していたが、まだ車内整備が終わっていないらしく、扉が閉まっている。待ち列で、へその出た短いTシャツの娘が、素肌にペラペラした柄シャツを着た男に縋り付いて、キスを迫っている。男は、少し面倒くさそうに、そのくせじっくりキスをした。新幹線の扉が開くと、役目がすんだと言う感じで娘を引きはがし、なにか小声で耳元にささやいて車内へ送り出す、と、後ろも見ないでさっさと階段を駆け下りていった。本当に、一度も振り返らなかった。娘は、しばらく男の消えていったほうを見つめていたが、あきらめたように車内へ入っていった。

 そのうち、島本夫妻到着。島本さんは、いつものショルダーバッグとトートバッグに加えて、パンパンにふくらんだ大きなガーメントバッグまで抱えている。「あれ、岩田さんは?」と言うので、「まだ見えてませんよ」と答えると、悲しそうな目で「あ、そう」とつぶやいた。

 のぞみ121号が入線し、やがて扉が開いたので、私はさっさと乗車する、が、島本さんはなかなか乗ってこない。岩田さんが来ないので、心配してホームで待っているのだ。やがて、週刊大衆のY氏が登場。今回、どうせ大阪へ行くならついでに本業もやっつけよう、ということで、島本さんが週刊大衆に連載している「おとなの居酒屋」取材もすることになり、その担当Y氏も同行することになったのだ。Y氏も「あれ、岩田さんは?」と聞くので、「まだです」と言うと、「大丈夫かな」と心配顔をする。「まだ、10分ぐらいありますよ」と言うと、「それでも不安なんだよね、岩田さんの場合」。

 島本夫妻も乗ってきた。大きな荷物を棚に上げながら、「岩田さん、まだ来ないよ」と悲しそうに言う。「大丈夫ですよ、新幹線なんか、駆け込み乗車できますって」と答えたが、時計を見るともう発車2分前になっていた。最悪、夕方までに大阪へ着けば、「ギャラリー土間」でのライブには間に合う。午前中から出かけることになったのは、ライブの前に居酒屋1軒取材をすませようという魂胆からなのだ。島本夫人の加寿子さんと岩田さんと私は、取材の際にお客を装って写真に写りこむ役目を期待されているだけなので、ま、居ても居なくてもさほど影響はない、と思うのだが、島本さんは、「岩田さんが来ない」という事態そのものに心を痛めているようで、本当に悲しそうだ。

 と思ったところに、岩田さんがすました顔をしてギターケースを揺すりながら現れた。発車1分前。Y氏が、「今回は乗り遅れると思ったよ」と冷やかしたが、岩田さんは動じない。「ちゃんと来ますよ」などと言っている。島本さんは、何も言わなかった。岩田さんが席に座ってすぐ、新幹線が動き出した。岩田さんをよく見ると、胸で息をしている。「さすがにマズいと思って、ちょっと走った」と小声で私に言った。

 大阪まで2時間半ほど。梅田へ出てお初天神そばの「OSホテル」にチェックイン。すぐにロビーへ集合して西梅田駅まで歩いていき、地下鉄四つ橋線に乗った。「ギャラリー土間http://www5f.biglobe.ne.jp/~doma/のある玉出まで、およそ20分。「ギャラリー土間」は、住宅街の中にある、表向きふつうの民家で、イベントが行われる場所には見えない。古い日本建築をモダンな内装に改築した建物で、広い玄関土間がギャラリーとして使われており、その土間が今夜のペーソスのステージとなるのだ。

 荷物を置かせて頂くとすぐ、「土間」主催者のO氏の案内で、「おとなの居酒屋」取材店へ出かける。O氏は、東京で編集者をしていたこともあるという人で、島本さんと旧知らしい。昨年末、まだ私が専属司会となる前、「おとなの居酒屋」取材で大阪を訪れたとき、良いお店を紹介してもらうなど、お世話になったという。そのときは、今回と逆で、取材がメインでペーソスがおまけだったようだが、岩田さんも同行し、後述する映像会社「RIBIA」にプロモーションビデオを撮って貰うなどする間、この「ギャラリー土間」に賄い付きで2泊させて頂いたらしい。宿泊費など、お支払いすることもなく。このことが後に荒木惟経先生の知るところとなり、「いいトシして、人様に厄介をかけるんじゃない!」と叱られたという。しょうがねぇなあ。

 取材店は、居酒屋ではなくて中華料理店だった。が、そんな小さな違いは、気にしない。うまい料理で酒が飲めれば、そこが居酒屋なのだ。中国河北省あたりの料理を出す店で、大変おいしく、ビールの進むこと。岩田さんはすっかりほろ酔いになり、「ああ、今日も良い一日だったなぁ」などと言っている。ちょいと、これからが本番ですよ!

 19:00、ステージ開始。マイクなしの生音パフォーマンスだけど、土間の吹き抜けがすばらしいナチュラルエコーを演出してくれて、とても良い感じ。島本さんは、熱演で汗だくになり、たたきに小さな水たまりを作るほど。途中、汗が目に入って歌詞が見えなくなり、『涙腺歌』を途中でやり直すハプニングあり。

 ステージ終了後、O氏の呼びかけでお客様方に残って頂き、その場で打ち上げ酒盛りをする。私の大学時代の親友で、ユニバーサルスタジオ・ジャパンの広報をやっているT君も来てくれて、久しぶりの再会を果たすことができた。ペーソスの二人にとっても、ご覧頂いた方々の生の声が聞けて、大変勉強になったと思います。皆様、ありがとうございました。

今回の演奏曲
@わたしズルいんです
Aああ愛情〜駄目になりそう〜
B風に揺れている
C独り
D甘えたい
E男嫌い
FSEXと嘘と写真
Gああ連帯保証人
H恋人生
I涙腺歌
J霧雨の北沢緑道
アンコール
K女へん
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2004/10/04
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