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第562回「オバケがいっぱい」2015 11.02発行


 十月下旬、休日になると街にオバケが多くなります。オバケは、たいてい若者です。みんな、楽しそうです。オバケの群れをかき分けて、オッサンたちは黙々と道を行きます。ライブ会場へ。
何なんじゃ、ハロウィンって。
 10/26(月)は二週連続で西荻窪「小料理HANA」でした。今回は、プライベートライブです。我らが加藤克明さんのバースデーパーティーだったのです。加藤さんが、「気楽に、呑みながらやってくれればいい」とおっしゃるので、調子に乗った島本・末井は演奏前にたっぷり呑んでしまい、ヘロヘロ。いつもは出番前に呑むことはありません。ただでさえ正確さを欠くパフォーマンスなのに、呑んだらどうしようもなくなってしまうと自覚しているからです。ところがこの日は……。

 呑んでいると、良い部分もあります。最大の利点は、島本さんが陽気になることです。表現力が、より豊かになる感じ。でも、音程は、より不確かになります。尚人曰く「普段と酔っ払いの中間くらいでやってくれると良いんですけど」。そう聞くと皆様は「ほろ酔い」を連想されるかもしれませんが、そうではないんですよ。ほろ酔いだと、まだハジケ足りない。ハジケるところまで行くと、既にヘロヘロ。そのビミョ〜な境目に止めるのは、難しいんだなぁ。ともかく、ヘロヘロのライブでも加藤さんは喜んで下さったので、良かったと思います。お見えになっていた森久保社長が「こういうペーソスも面白いですね」とおっしゃっていたと、加藤さんが後で知らせてくれました。プライベートライブの良いところですな。

 10/29(木)は、小岩「BUSHBASH」でライブイベントに参加しました。若者たちのエネルギッシュなバンドと共演です。我々の出番はトリで、既に22時を回っていました。オッサンが呑まずに待っていられる限界時間を過ぎておりましたが、なんとかガマン。それにしても、あまりにも違和感アリアリのキャスティングだと思ったんですが、対バンのパンクな若者たちがノって下って、良かったです。遅くまで酒を我慢した甲斐があった!

 10/30(金)は、銀座「まじかな」で雨本ふみさんと共演いたしました。雨本、相変わらずスゴい。ハジケております。先月、「まじかな」で彼女の『不安定な情緒』PVを撮影し、ペーソスもバックダンサーで参加したので、末井さんが「どうせならまた踊りましょうか」と軽口を言ったところ、引き返せないことに。末井さんはヤケになって激しく踊り狂いました。あんなにヒートアップした末井さんを見たのは、初めてです。お客様がいると、サービス精神が発揮されて、歯止めが利かなくなってしまうのです。心臓止まるんじゃないかと心配しました。

 その後の我々の出番で、末井さんは『私はいったい何を忘れてしまったんだろ』の、忘れてはいけないキー(調)を忘れて、イントロからワケわからん演奏になってしまいました。「さっき激しく踊ったのが原因ですよ」と、これまたワケわからん言い訳をしておりました。激しく脳を揺すったので、記憶が飛んだと言いたいのか?

 10/31(土)は、久しぶりの新宿「道楽亭」で、猛毒落語の巨匠・快楽亭ブラック師匠との初共演でした。下ネタで師匠に勝てるわけもないので、私どもはいつも通りの選曲で前座を務めました。その後は客席へ回って、いよいよ巨匠の登壇です。「野ざらし」「道具屋」の二席でしたが、そのままの古典落語ではないのがブラック流。とてもここには書けないクスグリの連発です。日本映画通の師匠ですから、「道具屋」は、松竹映画の主人公たちが次々に登場する思いがけない展開に。客として、堪能いたしました。
 終演後、そのままお店でお客様と打ち上げパーティーをして、外へ出たら、新宿二丁目が大変な騒ぎになっておりました。ただでさえ化け物だらけの街なのに……ってなこと言っちゃイカンか。ブラック流が移ってしまいまして失礼いたします。ま、なんちゅうか、風変わりな人の多い街ですが、この日は本当にオバケだらけになっとりました。10/31は、ハロウィンの本番だったんですな。白人女性(女性だと思いますがわかりません)が、なぜか下半身だけ下着のみで歩いています。島本さんの目が釘付けになり、泳ぐように付いていってしまって、追いかけていったら、我々4人はオバケたちの真ん中に到達してしまいました。オバケ、嫌い! いつまでも下着を追い求める島本さんを引きずって、何とかオバケから逃れました。何なんじゃ、ハロウィンって。

 末井さんは、そのまま帰りましたが、残り3人でゴールデン街へ。3月に大阪ライブをプロデュースして下さった中川さんが東京お越しだったので、ご挨拶に伺ったのです。中川さんは、加藤さんの大学時代からの親友です。帯広ライブ、大船渡ライブ、わざわざお運びくださいました。ガッチリ握手して一緒に呑んでおりますと、「今日はペーソスさんのライブ観たかったんやけど、他の予定とかぶってしまって、観られんかったのが残念や」とおっしゃるので、既にヘベレケで陽気になっていた島本慶が「それならここでやりましょう!」と請け合い、お店は勝手知ったる「ビッグリバー」だったのでママもノリノリ、即席ライブを敢行いたしました。ママとお店の人たち、加藤さんも含めて、お客様総勢9名様。行きずりの方もいらっしゃいましたが、迷惑顧みず熱唱! 島本、良い感じに気持ちが入っていて、なかなかの出来でした。中川さんに喜んで頂き、支払いをすっかりして頂いた上に、「ペーソスさんの分のボトルも入れといて」と粋なご配慮まで。なんてお稲荷さんのデカい人だろう! ありがとうございました。
帰りの電車は、やっぱりオバケがたくさん乗っていました。口から血を流している娘さんがおります。隣の、顔中傷だらけの娘さんと楽しそうに話しているから良いようなものを、一人で俯いてたら、どうしたもんかと思いますよ。 ホント、何なんじゃ、ハロウィンって!




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