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第410回「老いては猫に従え2012 11.19発行


本格的に、寒くなってまいりました。私事ですが、ウチの母が耄碌して、最早、暑さ寒さに鈍感なのです。肌寒いのに、暖房をつけない。「だって、寒暖計は20℃だから」と言うんですが、寒いもんは寒い。私が家にいれば良いのですが、不在の時は、一日中、肌寒い中で暮らしているようです。こういうときに、頼りになるのが、猫。「グーちゃん(猫の呼び名です)が、床暖点けろって、うるさいのよ」と言うんですが、ま、猫が「点けろ」と口で言うわけがない。床が温かくなることを、知っているんですな。で、母につきまとって、アピールするワケです。床を温かくしろ、もしくは、膝に載せろ、と。猫のほうが、寒暖計の数値よりも正しい、と私は思います。だって、何の予断も無く、体感だけを頼りにして暮らしているのだから。猫の希望通りにしておけば、間違いない。時計を見るでもないのに、時間にも正確です。毎晩、10時になると、ソファーでうたた寝している母を起こします。伸び上がって、肩口を手でつついて、揺すります。「もうベッドへ入る時間でしょ?」というアピール。動物って、スゴい! 人間が失ってしまった能力を持っている。私ぁ、母に言いました。「老いては猫に従え」、と。

先週は、ライブが3本ありました。

11/14(水)横浜FRIDAYで、ナオユキさんと共演いたしました。FRIDAYは音楽専門のライブ・バーで、純粋なお笑い芸人の出演は特例だと思いますが、ナオユキさんが大阪から出稼ぎに来る期間に丁度当たっていたので、マスターへお願いしたところ、「良いよ!」と快く応じて下さいました。ペーソスとナオユキさんとは、曲がりなりにも音楽と、本格の漫談という異ジャンルですが、相性バッチリなのはこれまでに証明済み。マスターに気に入って頂ける自信がありましたので、無理を聞いていただいたのです。集客面が思わしくなかったのは不徳の致すところですが、ウケましたので、ま、良かったか、と。ナオユキさんのステージで、お客様はもちろん、マスターが手を叩いて笑っているのを見て、嬉しくなりました。いつも、ナオユキさんとの共演は、良い感じに淀んだ、ダウナーな空気になるので、お互いにプラスだと思っています。これからも、共演の機会をどんどん作っていきたいと思っております。
この日、久しぶりに、かつてP−VINEレコードのプロモーターだったKさんが来てくれたのも、嬉しい出来事でした。Kさん、というか、私は「ジョンくん」と呼んでいる、というのも、とある北の国の亡き首領様のご長男に似ているので、ジョン男、通称「ジョンくん」なんですけど、今は大手の音楽事務所に転職して、バリバリやっている、と。会社の会議で、「ペーソスっていう歌謡バンドが面白い」と言ったけど相手にされなかった、と。ま、ポップス系最大手だからなぁ。ペーソス、お呼びじゃないのは仕方がない。爾来、疎遠になっていましたが、最近、横浜へ引っ越して、FRIDAYに大西ユカリ姐さんのライブを観に来たら、今もペーソスが出ていることを知って、来場してくれたのでした。再会、嬉しす。ジョンくん、ぜんぜん変わってない。テーブル一杯に料理を取ってガツガツ食って、一番大声で笑って、「やぱりペーソス面白いですわぁ!」と言ってくれました。また、一緒に仕事が出来るようになると良いなぁ。わかってくれる人がプロモートしてくれる、それが、一番幸せだと思っております。ジョンくん、お願い!

11/17(土)は、代々木上原「Le Depart」で二度目の単独ライブでした。あいにくの大雨でしたが、意外と席が埋まっている、と思ったら、半分以上はペーソス目当てではなく、美味しいお食事にいらしただけのお客様でした。うるさい、やめてくれ、って言われるかと心配しましたが、皆様に楽しんで頂けて、良かった! 可愛らしいお子さん二人を連れた若いお母さん、ニコニコしながら観てくださって、幼稚園児くらいか、女の子が、まぁ可愛らしい、テレビに出ている子役さんよりも可愛い、この子が、椅子に乗って立ち上がって、手を叩いてノリノリだったので、こっちもノリました。お母さん曰く、「この子はライブ初体験なんですけど、こんなにノルと思わなかった」と。初めてのライブがペーソスで、申し訳ない。でも、ペーソスは厄払いには定評がありますから。悪いものすべて島本さんが引き受けますので、健やかにお育ちになることと思います。二十年後に、また会いたい。きっと、ものすごい美人になっておるだろう。覚えていてね、このヘンなおじさんたちを!

11/18(日)は、下北沢KOMPALでの定期ライブでした。今月の新曲『今を生きよう』を発表しました。タイトルは、なんと前向き! ペーソスらしからぬメッセージですが、裏を返せば、「今さえ良ければいい」という、島本慶らしい刹那主義でござる。昔から「今が良ければ」、と生きてきて、深謀遠慮がまるで無いのですが、還暦を迎えて、開き直って、ますますヒドくなっておるのです。酒量をこれまで通りにして大丈夫だと本人は思っているようですが、弱くなっており、適量を超えているのです。で、記憶がなくなること、しばしば。前日も、たまたま観ただけのお客様に「楽しかった」と言われて調子に乗って、女性を選んで「ありがとぉ〜」と満面の笑顔でハグして、「島本さんって、歌っているときと全然違う、明るい人ですネ」なんて言われて、喜んでおりました。あ、こりゃ記憶にないな、と思って指摘したら、案の定、「そんなことしちゃったの!?」と驚いていました。ま、お客様が嫌がっていなかったから止めませんでしたけど、何をしでかすかわからん。酒の入った島本さんが明るく振るまい始めたら、危険です。女性のお客様は、残り三人のメンバーの方へ避難して下さい。お客様を尚人くんがお守りして、末井さんが島本さんを背後からフルネルソンにキメて、私が脇腹の急所に地獄突きを食らわせて、倒します。それさえ翌日になれば覚えていないので、躊躇無く、一撃必殺で退治いたします。
この日も、嬉しい出会いがありました。初めてのお客様、島本さんが新宿ゴールデン街のお店で行き会わせて、無理矢理CDを押し付けた女性が、毎日、出勤時に車中で聴いて下さっていて、生で観たいとお越しくださったのです。ろう学校の先生だ、と。尚人くんのお父さんが「日本ろう者劇団」の主宰者だということを知らせたら、とても驚いていました。尚人くんのお父さんは、ろう者関係者で知らない人はいない有名人のなのです。「明日、ぜひみんなに話さなきゃ。名刺下さい!」と、尚人くんの名刺を押し頂いていましたが、偉大なのは父ですよ。コイツは、ロクデナシのおやぢになりかけの、先の見えないアホウですぜ。ま、尚人くんによると、その偉大な父も、毎日プラモデルを作って暮らしていて、糖尿病なのにジュースが大好きで、隠れてガブ飲みしているアホウらしいですが。

ということで、11月残り二週間は、ライブがございません。次は、11/1(土)アラーキー先生定期展余興です。下北沢のギャラリー、ラ・カメラで、入場無料です。その次は、12/6(木)原宿クロコダイルです。12月に入ると、期間限定曲を解禁いたします。昨年に作った『クリスマスの夜』を、12月だけ、披露いたします。マクドナルドのグラコロと同時期に、期間限定でお届けします。ぜひ、お運び下さい!

12月は、衆議院選挙ですね。東京都民は、都知事選挙とダブルです。どこに、誰に、入れて良いものやら。こうなったら、私、立候補しようかな。公約は、「お年寄りに猫を!」です。猫の希望通りに暮らせば良いのです。起きる時間、寝る時間、ご飯の時間、教えてくれます。暑い、寒い、知らせてくれます。猫通りに暮らしていれば、すこやかに生きられること、間違いない! 

老いては、猫に従え。この公約に、清き一票を!


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